その日の夜中3時に蜜柑は前触れも無く眼が覚めた。
また寝ようかと考えたが寝付けなかった。
蜜柑は仕方が無く起き上がり部屋の電気をつけた。
いきなり明るくなり眼が眩んだ
カーテンを開け、冬の寒さに身を振るわせた
窓は開けてはいないのにこの寒さ、窓は湿気で水滴が付いている
冷たい窓を手に当てて左右に動かす。
まだ明るくない景色が浮かび上がった
煉瓦の道に街灯が光っている
その電灯の下に影があった。
ベンチに座っている。
蜜柑はそれをみたらカーディガンを羽織って静かに外に出た
今日も任務だった、体中痛い
今日も任務だった、人を傷つけた。
血が出ていた
その血が服についている。
気持ちが悪い
ヒュゥ・・・
風が吹く。肌にその冷たさが伝わってくる。
喉が痛い。 突き刺すように、風はやまなかった。
上を見上げると、星が光っている。
満面とはいえないけど、けっこう綺麗だった。
街灯よりも、ずっと光って見えた。
見ていたら気が付いた、自分は何でここにいるのだろう。
なんで、星を見ているのだろう
冷たいベンチに座って、何で、見ているのだろう。
帰って、風呂に入って、服を捨てて、パジャマに着替えて、寝る。
そして、明日何事も無かったように教室に行く。
そして、あいつを見る。
それがいつもの習慣だった。
喉が痛い、喉が渇いている。
息をするたびに痛い、さすような痛みだった。
・・・本当にそろそろ帰らないと風邪引くぞ
立ち上がろうとしたとき、声がした
「棗!?」
ああ、喉が痛い
「棗!?」
思わず来てしまった。
窓から見た棗の髪が、すこし赤かったように見えた。
だから、来た。嫌な予感がしたから
前、蛍も言っていた『女の勘は当たる』と。
しかも、この寒いなか、ベンチに座ってぼーっとしているのが尚行かなければいけないような気がした。
呼んだ瞬間。棗はびっくりしたような顔をしていた。
こっちも驚いた、本当に棗だったなんて。
二人は何も言わなかった。
冷たい風と夜空に光る星、そして、北の森から聞こえる鳥の鳴き声。
二人の間は時が止まったようだった。
言いたいのに、言いたいのに。
だけど、言ってしまったら、傷つけてしまうかもしれない。
どうしよう。
なんで、ここに、コイツが・・・いるんだ
見られた、また 自分の汚い姿を。
俺は、自分が言ったらいけないような感じがした。
何を言えば、何を言えばいいんだ。
何も、言えねぇ・・・
蜜柑の後ろの校舎をみた 一つの部屋だけが明かりがついている。
他の部屋も小さい電球がついている部屋がところどころにあった。
真っ暗にして寝れない奴らだ。
そんなことより、この目の前にいる女をどうにかしないと。
何か話してくれ。
俺は、何も話せない。
喉が痛くてな、だから、何か、言ってくれ。
息をするたび、喉が痛い。
なぜか、胸の辺りが重くなっていく
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