「あれぇ?」

そう言って蜜柑はかがみこんだ

「ん?どうしたの蜜柑」

今蜜柑と蛍は二人で北の森を冒険(?)している

「ほら ・・・これ」

そう言って指差したのは翼が血でにじんでいるつばめが居た

「あら 、この子怪我してる じゃないの」

「うん・・・・どうにかならん のかな?」

心配そうに 蛍を見上げてくる蜜柑

「どうにかして はあげたいけど・・・・」

「どしてダ メなん?」

「エサがないじゃない・・ ・」

「それに・・・」とつぶやいて蛍は木の上を見た< BR>
「あ・・・・巣?」

「そう、落ちた子を巣に戻し たらまた落とされるのよ」

「え?なんで・・・?」

そう言って蜜柑はつばめを両手で大事に持ち上げた


「人間の匂いがするからよ」

ギクッ肩が少しゆれて蜜柑はゆっく りと蛍のほうにむいた

「・・・・でも・・・でも・・・・。」

目に涙をためて蛍を見た


「蜜柑。その子には一 瞬で死んだほうがいいのかもしれない」

「え・・・?蛍?」

「でも、違うかもしれない 。まだ生きたいと思っているのかもしれないわ。でも ね」

蛍は優しい目で蜜柑を見て頬を触りながら 言った

「命はたやすいの。とても繊細で、乱暴に扱 うとすぐ壊れてしまう」


蜜柑は涙が溢れ出してきてつば めをギュッと抱きしめた

「あ!せや・・・蛍・・・・機械でこ の子直す作る機械作って・・・!」

「蜜柑・・・・」

「そや!そーしたらこの子絶対たすかるて・・・・!」

泣きな がら笑って蛍に問いかけた

「なぁ・・・蛍・・・・」

「作れないこともないけど・・・・三日はかかるの・・・」

蛍は残念そうに蜜柑を見つめた

「そんな・・・じゃあこの子は ・・・・」

「・・・・・」

蜜柑は少し黙り込んで決心したように立ち上がった

「ウチこの子手当てするっ!!」

せめてそれくらいはしてあげたいと思ったのだろう。

蜜柑は部屋に戻り救急箱を開け怪我している翼を消毒して包帯を付けてやった

すこしして蛍がやって来た

「蜜柑、私これからマシーン作るんだけど。ちょっと材料多いいからあんたも来て」

「っ!もちろんや蛍っ!」

そういって蜜柑達は材料を買いに行った


蜜柑達は気づいていなかった


窓が開いているということを






材料を買って戻ってみるとつばめの姿は なかった

「え・・・?」


蜜柑 は思わず材料を落としてしまった。

「・・・ あ、蜜柑・・・窓が・・・・」

そう言って蛍は材料を持っ たままで窓に近づいた

「!! !」

外を見ればつばめがぼろ ろになって倒れてるではない か。多分カラスにやられたのだろう< BR>
「っ・・!!まさか・・・蛍・・・・!!」

「・・・・・・っ・・・ ・」

蜜柑は察した



−自分が窓を開けっぱなしのせいでで つばめは・・・・−

蜜柑は目を見開いたままただつばめを直視していた。

蛍は蜜柑に「お墓を作ってあげよう?」と優しく声をかけた

蜜柑と 蛍は外に出てつばめの亡骸 を土に埋め白い石を上に載せた

蜜柑と蛍はお墓の前にかがみ込み 手を合わせた

「なぁ、蛍」

「何?」

「優しさ って、なんなんやろう」

蜜柑はお墓から目を離すことなく聞いてきた

「そ うね、優しさは何でもないのよ」

「え?」

「優しさだと思っていたことも時 には人を傷つけてるの。でもね優しさだと思って無くてもそれは優しさだったりする」

蛍はめをゆっくり瞑り

「だから、優しさなんて事は本当はないの」

そういっ た蛍は一瞬泣いていたように見えた







蜜柑はその夜考えた、< BR>

『命はたやすいの。とても繊細で、乱暴に扱うとすぐ壊れてしまう』

蜜柑は棗のことをあのつばめと重ねていた

時々棗は血を流してこっそり部屋に訪れる

その度に蜜柑は泣いて手当をする

それを棗は黙ってみているだけ

いつ死んでもおかしくない状態だ

棗自信も怖いのだろうけど蜜柑も怖い

「命って、なんでこんなたやすいんやろう・・・」

そうつぶやいて蜜柑は眠りに落ちた

胸に蟠りを残したまま

生きてください

生きるとは、何かを壊すこと