彼女があの草食動物を好きだった事は知っていた。そして、その草食動物は他の女が好きだったという事も知っていた。それは彼女も知っていた。皆知らん振りして今までを過ごしていた。僕も、彼女も

 

冷たい窓の向こう、彼女は笑顔を向けていた。自分以外の、あの男に。振られた時に言った言葉。今まで通り、普通に接してください。と彼女は言ったらしい。それに少し苛立ったが、冷たい体で泣いている彼女を見ているとそんな我侭は言ってはいけない。そう思った。

だから今のこの状況に満足しようとした。前と比べれば凄い進歩だ、そう言い聞かせていた。彼女も普通に過ごしている。あの日から数日経った時はぎこちない笑顔を僕に向けていた。でも、最近は本当の笑顔を向けるようになった。それにふっと安心していた。

でも、やっぱり不安になる。いつ彼女が離れていくか分からない。彼女はまだあの男が好きなのだろうか。

そんな事が頭をよぎった。

女々しい自分に、何だか不快感を覚えた。こんなの自分じゃない。だけど、そう思わずにはいられなかった。

 

 

「雲雀さん」

次の日。彼女の高い声が聞こえた。

「何?」

「ハル、ツナさんと話をしました。」

どくん

「いつも通りか、分かりませんでしたけど。ツナさんは、笑ってくれました」

俯いた彼女の顔は見えない。今何を思っているのかよく分からない。

「・・・・そう」

「獄寺さんも、山本さんも、京子ちゃんも、きっと、分かってると思います。それでも、皆さん、いつも通り接してくれました」

「・・・・・うん・・・」

「それが、凄く、嬉しくて、悲しくて・・・」

ぱっと、顔を上げた彼女はいきなり抱きついてきた。不意打ちのその行動に驚いてよろけた。

「・・・・でも、ハルには、雲雀さんが居るから、だから」

大丈夫ですよ。と、彼女は微笑んで言った。

 

残った傷痕

それでも、君があの男を好きだったという事実は変えられない

 

あとがき

うん。これ、あれです。はい。・・・何か・・・はい・・・(ぇ

お題も何もないですね。はい。

あと、これバットエンドからのハッピーエンドの続き(?)です