どうして?何て聞かれても理由は無い。

明確な疑問を提示されて、僕は理由が無いという事で回避できるような問題じゃないと思っている。

乱れている。

僕の心と風紀が。

頭に乗っているこの生き物は、廊下を歩くたびに道を開ける生徒達の視線を僕にいつもよりサービスしてくれる。

理由は無いですませたが、煩わしい。

煩わしいから捨てる。という選択肢もあるのだが残念ながらそれは出来ない。

いつもの応接室の椅子に座る。首が凝りそうになるが、それでもペンギンを落としたりはしない。

指を絡めて顎を乗せる。一番いい形がこれだ。

ふぅ、と窓の外を見つめる。

まばらになった生徒達が、家路を目指して一歩一歩踏みしめているのだろうか。

空虚な感情が心の中にぽつんと浮かんだ言葉は、直ぐに霧散した。

散らばる蟻に用事は無い。

一直線にこっちに向ってくる小動物に用がある。

そろそろ許しを得たい。

 

 

「こんにちはー!あ、よかったやっぱりそのペンギンちゃん雲雀さんの子だったんですね!ほら、今日は生魚持ってきたんですよー!」

 

・・・・。

 

 

 

束縛