火事よりも熱く怖い彼。

デンジャラスな彼に惹かれた馬鹿なハル。

それだけがこの世の全てなんですよ。残念ながら、今の所。

 

「ん、」

むちゅ、と。キス。

「はふ・・・」

ぷは、と、息継ぎ。

「んぅ・・・」

ぐり、と、舌。

「んっ、ん・・・」

ぐちゅ、と唾液。

情けないくらいに震える指先を、彼の肩に乗せる。

女々しいくらいにその表現は的確だった。つかむ事も出来ないくらいに腑抜けになった馬鹿なハル。

そのハルの反応を見て愉悦の表情。

男の人の表情に背中はぞくぞくっ。

唾液が口元から零れ落ちてもうだめ、と堕落する。

背中に回された手が、手のひらの温度が。

「あっ、」

もう死にたくなってくる。

眼をぎゅっといきなり瞑ると、ばちばちっ、と火花。

肌から浮かび上がる快楽が体の中に進入。

身体の神経と細胞が他人に犯されているこの瞬間。

虚ろな脳で確認するのは愚かな彼の顔。

ゆっくりと眼を開けると綺麗な顔。

まだ、男の人のかお。

 

「ねぇ、ハル。」

 

愉悦に顔の色を塗って。

 

「死にたい?」

 

僕が殺してあげるよ?

と、誘惑する。

 

「・・・死にたい・・・」

 

言ってほしいであろう言葉を心から言うと、

男の人から、雄に変わった。

 

 

 

死亡願望