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秋の空は深い蒼の色を薄めるように散らばった薄い白い雲がベールとなって空に漂っていた。
まるで綿のようなその雲に綿あめを思い出した。夏はもう遠い過去のように肌に涼しい風が吹き付ける。
神々しい程にはっきりとした雲の境界線は見えない空を見上げて、ハルの上を飛んで行った鳥を視線で追いかける。電線に止まった。小さい茶色の鳥だった。
仲間を探すように左右に首を揺らしてちゅんちゅんと小さく鳴く。朝のしんとした空気によく響く音だった。
「ハル。」
そっと温かみを残した声で呼ばれ、振り向けば気流しを着て眠たげな眼をさらしている雲雀が居た。
「起きたんですか?」
「うん。君がいなかったからね。」
「怒ってますか?」
「こんな事で怒るわけないでしょ。」
うぬぼれるな、と言うような口調だったが、後ろから抱き締めてくるこの腕は何ですか。と問いかけてみた。ただ寒いから、君は湯たんぽと同じだから。と抑揚の無い声が耳元で寒さに震えるように言った。
「見てください雲雀さん、ほら、あそこ。」
「・・・何?」
「鳥です。かわいいですね。」
「煩い黄色いのと変わらないよ。」
「あれは雀ちゃんですよ。」
「黄色いのは何なんだろうね。」
「ヒバードちゃんですよ。」
「種類の話をしてるんだけど。」
朝方の澄んだ冷たい風にあたりながら、裸足の足を擦り合わせながら冷たい縁側に熱を奪われる。
後ろから抱き締めている雲雀もそうらしく、ハルをぐいぐいと引っ張り、まだ暖かい布団へ誘おうとする。
「折角起きたんですから、このまま朝ごはん作ります。」
「今日は昼まで寝る約束でしょ。」
「でも、」
「でもじゃない。」
少し不機嫌になってきたので、ハルはそのまま雲雀の命令通り布団に入り抱き枕となった。
雲雀よりも冷えたハルの身体に眉根を寄せながら、氷のように冷たくなっている手をぎゅうっと握った。
「いつから起きてたの。」
「今さっきよりも、空が少し暗かったくらいです。」
「何してたの?」
「空をずっと見てました。秋だなぁって思って。」
「ふうん。」
雲雀の足に触れるハルの足先の冷たさに眠気が吹き飛んだ。咎めるようにハルの着物の合わせに手を入れてわき腹をつまむ。
「はひっ!」
「冷たい。」
「しょうがないじゃないですか。ハルだってあたりたくて当たったわけじゃありません。」
「僕に触りたくないって事?」
「どうしてそうなるんですか・・・」
呆れたようにため息を吐くと、はだけた合わせから、その吐息が雲雀の胸元にかかった。
ハルの肌に触れていた手をそっと撫でるように滑らせてハルの脇あたりまで上った。そして、
「朝からなんて事、」
「寒いんだし、体温を補いあおうよ。」
「ハルは爽やかに秋の朝を堪能していたのですが。」
「じゃあ爽やかに子作りをしよう。」
「全然爽やかじゃありません!」
ハルが頬を膨らましていたので、暖かい肌から手をどけてそのまま膨らんだ頬へ手をあてる。すべすべとした頬は冷たく、鼻の頭も赤くなっていた。
そこに唇を落とすと、ハルはぴくっ、と反応して大人しくなった。
ふっくらと膨らんだ唇にも重ね合わせると隙間から漏れる息が熱かったので口をひらいて舌で舐め上げた。唇はやはり冷たかった。
「ん・・・」
漏れた息から声が着色されていた。ハルは薄らと瞼を押し上げると、そこには当たりまえのように綺麗な顔をした雲雀の眼を閉じた姿があった。
ハルが瞼を開けた事によって睫毛で顔を擽られたらしく、雲雀もそっと眼を開けた。
同じ日本人の黒い瞳がぶつかりあう。黒い慟哭はそのままハルを吸いこもうとするかのように深い黒だった。
先ほど見た明け方の靄のかかったような黒とは全く違う瞳の奥に、身体の芯が炎を帯びたように熱くなった。
「身体温まったでしょ?」
「あ、はい。」
「お腹もすいてきた。」
「はい。」
「魚が食べたい。さんま。」
「はいはい。」
「はいは一回。」
「はーい。」
「・・・噛み殺すよ。」
「どうぞお好きに。」
挑発するように言ってみたらうまくいった。首筋に思い切り噛みついてきた雲雀をハルは頭をそっと撫でる。
喉を鳴らしてじゃれてくる猫みたいに、ハルも雲雀も口元に弧を描きながら肌に触れた。
お腹が鳴りながらもする朝の情事は汗が出るほど熱かった。
ヒバハルは一緒に住むとお互いに着物来て生活していれば萌え萌え萌えー!(ウザイ
ギリギリ甘々に収めましたが、下手をするとエロに行ってしまいそうだ他ので危なかったあ!
そしていつまでスランプなのか。という。
リクエストありがとうございましたーw
title 泣殻