女の子の理想をかなえてくれる日というのを作ったのです。

それがいつだったのかはもう忘れてしまいましたが、それでも作った事は事実で、彼もそれを覚えています。

そしてそれを実行してくれます。それはもう、美しく。

だから、彼はハルに従順に、ロマンティックを奏でるのでした。

 

 

 

ぎゅうってしてください。

キスしてください。

好きって言ってください。

この世の誰よりも愛してるって言ってください。

命令をこの世の誰よりも拒む彼が、ハルに応じてそれに答えてくれる。

それが一番嬉しくて、ハルは乙女の夢を口に出すのです。

「抱きしめてください。」

そうすると、彼は素直に頷いて抱きしめてくれるのです。優しく、壊れ物に触れるように、でもそれでいて力強く。

「キスしてください。」

そうすると唇に吸い付いて舌でべろりとハルの唇を舐める。

「すきって言ってください。」

「好き。」

鸚鵡返しのように聞こえますが、それでもその一言に含まれた愛情は日々感じているので疑う余地も無く、ただハルは幸せになるのでした。

そして愛の囁きを要求しようとしたのですが、それは今はやめておきます。

好きと言った雲雀さんが、とても恥ずかしがっているからなのです。

抱きしめてくださいとまた命令したわけでもないのに、ハルを抱きしめて、肩に顔を埋めているのできっと恥ずかしがっているんです。

けど、折角の女の子の理想をかなえてくれる日なので、ハルは心を鬼にして、彼よりも自分を優先するのでした。

「えっと・・・手の甲にキスしてください。」

王子様がお姫様にするように、貴婦人ではないけれど、ただの一軒家のリビングだけれど。

もうその行動だけでロマンティックは止まりません。

「っ・・・な、舐めちゃだめです!」

指の間をぺろりと舐められて、命令をしていない事をするのはご法度だと説明したのに!と心の中で叫び。口に出そうとしたのですが。

薬指に指輪を簡単にはめられて、はた、と口の動きは止まってしまいました。

思考回路も一瞬だけ真っ白になって、直ぐにまさか・・・と、現状把握を始めました。

「こ、これ・・・」

女の子の理想をかなえるためのプレゼントかと思いました。だけど、指輪の形を見るとただの指輪ではないようです。

きらりと光る銀色は、もしかして。

「ときめいた?」

意地悪にそう囁かれて、ハルの命令に従う一日は覆されてしまいました。

手をかざしてまじまじとそれを見ます。

これはやはり、結婚指輪ではないでしょうか。

そして三浦ハルは華麗に苗字を変えて、煌びやかにロマンティックを奏でるのでした。

 

 

 

とりあえずハルのいう事を聞くデーというのがほしいなと思いました(ぇ

やばい。甘々っていうのが分からなかった・・・ほのぼの、甘、甘々、エロ。この境界線が難しい・・・

すみません。スランプですので・・・そうさ、スランプのせいさ!

 

リクエストありがとうございましたーww

 

 

 

title 泣殻