まるで親が夜中に子供に内緒でケーキを食べるみたいな、そんな感じがする。
まあ、確かにアイツ等は俺から見たら全員子供で、恐ろしいほどに好奇心で満ちている。
だからこの時代の、この事実をアイツ等に言えば、きっと過去に帰った時になんらかの綻びが出るだろう。
若いってそんなもんだろ?俺なんてここだけの話・・・っていうのを何度した事か。
恋愛に関してもクラスの中の話題に思い切りのっかって一緒にちゃかしてたなぁ。
まあ、そんな事が日常茶飯事で、青春の一ページを飾るいい事なんだが。
残念ながら、そんな事でこの関係にこぎつけない未来になるのは、ごめんこうむるって事だ。あれ、日本語あってるか?
「毒サソリ。」
どくさそり
ドクサソリ
毒蠍。
いろんな言い方が存在するが、俺はこれにしてみた。
どくさそり、では子供っぽいし、かといって毒蠍というのは俺には似合わない。ドクサソリなんて、感情がこもってない。愛情が無い。
そんな一人会議を夜寝る前に行って、混ぜてみた。
男らしさを演出できる、ちっぽけなプライドが勝ち取った呼び方。
それを前を歩く背中に投げかけた。
周りには人が居ない、ボンゴレ地下アジト。
違和感は無いか、内心では冷や汗が凄かった。
「何?」
振り返るビアンキの顔はとても平常で、いつもどおりだった。
やきもきしているのは俺だけかよ。といいたかったが、何処で誰が盗み聞きをしているか分かったもんじゃない。
「チョイスの事なんだが・・・」
「・・・もちろん行くわよ?ハルや京子も行くんですもの。」
「いや、それはいいんだ・・・」
周りには誰も居ない。
だから、呼んでもいいんじゃないかと思うが。
思うが。
「・・・無理、しちゃ駄目だからな。」
「・・・そうね。」
俺の言葉に少し驚いたような表情をしたが、直ぐに笑って俺の眼を見据える。
「貴方が無茶をしないのなら、私もしないわ。」
「・・・・・」
「あら・・・するつもりだったの?」
「・・・いや・・・」
今から絶対にする、しません。なんて事計画できるものでもない。その場の流れ、不利か有利かでそれは決まる。
もし俺が命を顧みずに敵の懐にもぐりこみ、攻撃を加えている間にビアンキは敵の真正面に仁王立ちして時間稼ぎをするんだろう。
愛故に、愛だけに生きると自分で言っているような女だからな。
「・・・まあ、ごちゃごちゃと煩い事言ってるけど。」
ビアンキがゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
俺の胸倉を掴んで思い切り引き寄せた。
鼻と鼻がぶつかって、って、おいおい。これじゃあ誰かに見られたらいけないだろ。
「命だけはなんとしても死守して頂戴ね。」
貴方が居なくなったら、私はどうすればいいの?
一体どんな香水をつけているのか、もしかして媚薬とか?
鼻を掠める匂いと熱さと、胸を焦がす何か。
青春の一ページのような恋じゃなくて、ドロドロの愛情ってものがあるとこの歳で知る。
パッ、と手も顔も距離をとって踵をかえすビアンキ。どくさそり。
「お互いに生き残りましょう。跳ね馬ディーノ。」
手を軽くふりながら歩く姿は余裕ばかりが見える。俺なんて、久々の会話やら接触やらにおいやらで心臓が煩いってのに。
子供を、ツナ達を、
過去にかえして、
そして、この時代のツナ達が戻ってきて、この未来の住人達が全員、戻ってきた時には。
思いっきり名前で呼び合って、それからあの香水の匂いは何処のメーカーなのか聞いてみよう。
初ディノビア!!
うっへー、やっべー
初、なのですよ。初です。はつなんです。ういではないのです。
スランプ+初
ど、どうかこれで勘弁してやってくだせぇ親分・・・!(土下座
リクエストありがとうございましたーw
title 泣殻