喉に焼けるようなアルコール。

冬の乾燥した空気で弱っている喉に、襲い掛かってくるその熱さは火傷しそうになる。

唇が触れ合って、口の端から勿体無い美酒が零れ落ちる。

舌が焼けて、喉が焼けて、唇も焼けて、心臓も焼ける。

こげ落ちるまでこのままなんて、拷問のようだとハルは思う。

アルコールでやられた頭は、呂律も麻痺させる。

「あぅ・・・ふぉ、ん・・・さ・・・」

ぎゅうっ、と抱きしめられ、腰にはがっちりと固定されてこのお仕置きから逃れる術は見つからない。

にやり、と、何処かで見たことがあるような笑い方をする。

ドス黒い笑み。

舌が捻りこまれ声までもが押さえつけられた今。自由なのは思考回路だけ。

でも、それすらもアンバランスで不安定。

ぐらり、と揺れ動けば直ぐにシャットダウンしてしまう意識。

脆いほどのこの時間の猶予の無さ。

意識が遠のけばきっと、酷い事をされる。

後からの羞恥を煽る言葉を赤裸々に語ってくれるだろうその唇は、今は戒めのようにハルの唇に合わさっている。

 

「―――駄目ですよ」

 

離れた瞬間に、頭を突き動かすような甘い声。

かすれた声は、きっと彼もまたアルコールでやられたんだ。

 

「絶対に、許しませんよ。」

 

媚薬のような声に、とんっ、と崖から背中を押された感覚。

落ちた。

シャット、ダウン。

 

 

 

 

無理矢理砂糖注入したら化学反応を起こして爆発するって習わなかったっけ。私。