浴槽の中で流した涙は、お湯に勝てるわけが無かった。

小さな一つの雫はしょっぱい味をぎゅうぎゅうに詰め込んだその濃い一滴は、三浦ハルの身体を浸かるまであるお湯からしたらあまりにも小さすぎた。

顔をぱしゃっ、とお湯をかけて、むずむずする鼻を叩く。

それでもまだ眼からは潤いが臨界点突破してしまい、また落ちた。

 

きっと、知らないんです。覚えてないんです。

膝を抱えて額に押し付ける。

湯気が充満した浴室に、静かに反省する三浦ハルの背中は哀愁が漂っている事でしょう。

心の目なんてないけれど、第三者から見たらそうなるんでしょう。

ハルはとてもわがままだと分かっている。自分自身で分かっているのだからそれはそれでまぁいいんじゃないの?と、前に言われたあのテノールの声を関係ないのに思い出してしまった。

更に涙腺が緩みに緩んでもうどうすればいいか分からなくなってしまった。

事の発端はあまりにも些細な事だった。くだらなくて誰かに相談したら馬鹿じゃないの?といわれてしまうような事。

それでも、ハル達二人にとっては重大で膨大なもので、漠然としたものでも特別視してしまうような事だ。

涙腺が崩壊したのは昼間。雲雀さんのわからずや!と叫んだのも昼間。

廊下を走ってはいけない学校の中を走ったのも昼間。

追いかけてきてくれなかった。あの人。

呆れたのでしょうか。

見放されたのでしょうか。

喧嘩して、わからずや!と叫んでも心の奥底にはこびりついている雲雀恭弥への恋慕。それがこんな事で剥がれ落ちるほど容易いものじゃない。

時々見せる笑顔とか、頭を撫でる手とか、転びそうになったときに助けてくれるあの手とか。

だんだんと頭がぐらぐらとしてきて、逆上せてきてしまったと気が付いてネガティブな考えは一時中断。

立ちくらみが襲ってきて、収まるまで待ってドアを開ける。段差に躓いてこけてしまい、お父さんがやってきたことに叫び声を上げた。

 

 

 

他愛ない些細な事だった。

いつもそんな些末なことばかりが起こるけど、今回は何が違ったのだろう。

まったく同じような日常で、基本軸はまったく一緒で、何も変わったことなどなかった。

でも、人間は完璧という言葉は不恰好なものだ。

天気予報と同じで、あたったり外れたりすような生き物だ。何も変哲は無い。変化があっただけのこと。

それなら尚更喜ばしい事だ。馬鹿の一つ覚えのように同じ事しかしない三浦ハルにはいい傾向だ。

新しくレベルアップする様を見てやろうじゃない。

それなのに、

それなのに、

どうしてかそれが喜べない。

喜べないというか、何か異物が胸の中に埋まっているような。

平凡な空。茜色から真っ黒に変わった時間まで此処に居る事も、変化だ。

僕とあの子が変化する。

それは当たり前で当然のものだ。

変化しないなんて、進化しないなんて更に悪い事だ。

時間が経過しないなんて事は決してない。今も一分一秒、必ず老いていっているんだから。

明るい時間からずっと此処に座っていたから、電気をつけていなかった。真っ黒な空は光を無くし、睡魔を呼び起こす。

部屋の中で大人しくしていた鳥は、ひかえめに羽を羽ばたかせ僕の頭に乗った。

僕の名前を呼ぶでも無く、校歌を歌うでも無く、ただただそこでじっとしていた。

改めて外を見て、町にはちらほらと光が浮かび上がっている。あの中に、わからずや!と叫んだ三浦ハルの家の光もあるのだろうか。

進化も変化が見えた三浦ハルに、どうして変わらないでと言おうと思ってしまうのだろう。

ポケットの中に入っている学校の戸締り用の鍵を握って立ち上がる。

鳥は静かに羽ばたいて肩にとまった。

譲歩するのはどちらなのかと、判断する術も忘れてしまった。

 

 

 

わけわかめすみません・・・ orz

何と言うか・・・アレですね。私って何を目標に書いてんだって話ですよね。

・・・・・がくっ・・・

 

 

title エヴァ・スノウ