1

 

「ふぅん。」

「あのっ・・・」

「へぇ・・・」

「ちょ、ちょっと・・・」

「ああ、ここは同じ・・・」

「やだっ、ちょっとストップ!待ってください・・・!」

「ん、次は服脱いでみて?」

「!!?」

 

体中を弄られて、いろいろと確かめるような動きばかり。ずっとニヤニヤとしてこちらを見ていました。

腕を掴まれて逃げるに逃げれず、そして疑問を問いかける前に煙が身体に纏ってセクハラお兄さんは消えた。

 

 

 

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・緑茶、で、いいでしょうか?」

「あ、はい・・・いえ、お構いなく・・・」

「・・・ようかんの方がいいでしょうか?ケーキしかないんですが・・・」

「いえ、お構いなくっ・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・私の事は聞かないんですか?」

「・・・・聞きたいことはたくさんありますが・・・でも、ケーキがおいしそうなので・・・」

「・・・そうですか・・・」

 

もぐもぐと、おいしいケーキを食べた。前回のセクハラお兄さんと同じ顔をしている人はとても柔和なままで、ハルに安心感を与えた。

ケーキを全部食べるまでは、煙が出なければいいなと思った。

 

 

 

「う゛お!!?」

「はひっ!?」

「・・・は、ハルかぁ・・・?」

「は、はい・・・三浦ハルと申しますが・・・」

「・・・そ、そうかぁ。アレか?アレだなぁ・・・」

「アレってなんですか・・・?」

「いや、何でもねぇ。アレだ。五分だったな」

「いえ、ですからアレって何ですか?」

「何すりゃーいいんだぁ?アレかぁ?高感度上げるかぁ?それとも感度を上げるべきかぁ?」

「?」

「・・・ああ、そうだ、今アニメしてんだ。見るかぁ?」

「・・・・・・・」

 

なぜか焦っているような、扱いに困っているお兄さんはハルを何歳と見ているのでしょうか。キッズアニメを見せられました。

貴方は誰で、此処は何処?という疑問よりもそっちの方がきになりました。

でもでも、焦ってばっかりいたけれど、ハルの事を気遣っているのは分かりました。

 

 

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・あのー・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・此処は、どこでしょうか?」

「・・・・・・・」

「・・・貴方は、誰でしょうか?」

「・・・・・・・」

「・・・えっと、えっと・・・あ、日本語なのがいけませんか?えっとー・・・は、はろぉー・・・?」

「・・・・・・・」

 

顔に傷がある怖い人は、ずっとハルから距離をとっていました。椅子に座ってウイスキーを飲んでいて、ハルの問いかけに何も答えてくれません。

まさかお人形かと思って一歩近づいたら、ぴくり、と眉が動いたのが分かりました。初めて疑問全てを問いかけたのに、まったく教えてくれません。

ずっと、黙って観察されてしまいました。

 

 

 

「うおっ、ハル?」

「はひ・・・」

「おー!懐かしいなー、このポニーテール。馬みたいだなー!」

「・・・えっと・・・」

「あ、そうだ、さっきもらった飴があったんだった。食べるか?」

「いえ、あの・・・」

「まーまー。遠慮するなって!口あけて、あーんって」

「え、あ・・・あーん・・・はへっ」

「お、危ねー・・・つるんと飲み込むのは気をつけたほうがいいぞ?咽るかもしんねーから」

「そ、そう言う事は早く・・・」

「ははっ、悪ぃー悪ぃー」

 

あっけらかんとハルの頭をぽんぽんと撫でてくるお兄さんは、顎に傷をつけているにも関わらずとってもフレンドリーで優しい人でした。

持っていた飴は葡萄で、ランボちゃんが好きな味だなぁ。と思っていると煙が身体を包みました。

 

 

 

「・・・おー・・・」

「はひっ」

「ハル先輩どうしたんですか急にちっこくなってー」

「・・・わぁ・・・素敵な蛙ちゃん・・・」

「・・・あれ?何ですかねこれ。もう捨てちゃいましょー」

「はひぃ!?プリティーな蛙ちゃんを投げ捨てるなんて!何てデンジャラスな・・・!」

「わー。ハル先輩って本当に昔は髪の毛長かったんですねー。かわいーです。」

「え、あ、・・・ありがとうございます・・・貴方も、蛙ちゃんとっても可愛いですよ・・・?」

「・・・・・・・・・・・」

「はひ!蛙ちゃんが爆発しましたー!?」

 

蛙の被り物がプリティーな緑色の髪の男の子は怒ったように蛙を投げ捨てたり銃で撃ったり爆発させたりと、とってもご立腹でした。

その後にかっこいいって言ってと言われたので、言ったらとってもご機嫌なご様子でした。

 

 

 

 

 

ぱたん。と、小さな手帳を閉じて、満足そうに口元を緩めるリボーンちゃん。

疲労したハルは四つん這いになり、重い肩に耐えているところです。

「暇だったから遊んでみただけだったが、面白い事ばっかりだったな」

「いえ・・・面白くないです・・・・」

「それにしても未来がこんなにも枝が分かれているとある意味壮観だな。」

「・・・は、はぁ・・・?」

リボーンちゃんの意味がまったく分からないのは、きっと糖分が足りないからです。ケーキを食べさせてもらいましたが、もうエネルギーは消費して三浦ハルはもうへなへなです。

白昼夢のようなあの光景たちはいったいなんだったのか。きっとリボーンちゃんの仕業でしょうけどもう問いかける気力も無いです。

そんなハルの様子を見てリボーンちゃんはケーキの白い箱を見せました。

「ミラージュのケーキだぞ。全部食べもいいが、太るからな。一つにしておけ。」

ケーキを奢ってくれるリボーンちゃんは太っ腹で、太る事に気を使って一つにしろとの助言はとても大人です。

ばくばくと思いっきり食べていると、エスプレッソを飲んでいるリボーンちゃんが。

「10年後が楽しみだな・・・」

と、意味深な言葉を呟いたのなんてハルはまったく知りませんでした。

 

 

 

リボーンは10年後ハルが誰と一緒に居るのかではなく、ハルの成長した姿を楽しみにしておられるのです。

何と言うか、全部書きたかったんですけどこういう風にちょこちょこしないとキリが無いので・・・

やっぱり片方が10年後設定は萌えますね・・・!

超大好物ですw(←

 

 

title 泣殻