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春の柔らかい日差しの下。木漏れ日が降り注ぐ木の下。
緑から覗く空の光がまぶしく感じる今の時間。その木の下は、眩しさと共に暖かさを得られる場所。
木の幹に寄りかかり、眼を閉じると爽やかな風が吹いていく。
風を髪に孕んで気持ちよさそうに薄らと微笑む少女。
そしてその腕の中にいる小さな赤ん坊。
フードのしたから覗く口はいつもどおりだが、何処か緩んでいた。
寝ている。昼寝だ。
窓から覗く其処は、芝生がしかれていて、風も吹いていてとても気持ちよさそうだった。
だから、苛立つ。
「はれ、ボス・・・。」
「なんだ。」
「どうしたんですか?そのケーキ。」
「・・・・やる。」
「はひ!」
驚愕しているであろう三浦ハルの顔を見ずにそう告げる。
オプションとして紅茶も添えつけてやったら、両手を上げてのけぞった。そのあまりのリアクションに口元をぴくりと動かした。
「ど、どうしたんですか!本当に!」
「何がだ。」
「だって・・・ボスが仕事中にケーキを食べていいなんて・・・・しかもボスからもらえるなんて・・・!」
天変地異ですー!皆さん非難です!もう直ぐユーラシア大陸の何処かに隕石が落ちてきます!
ドアを開けて大きな声でそう叫ぶものだから、わらわらと群がる連中。
「何?どうしたのハル」
「ルッスーリアさん!もう直ぐ地球が・・・!」
「今さっきはユーラシア大陸とか言ってなかったっけ?」
「う゛お゛ぉぉい!煩ぇぞぉ!俺は寝不足なんだぁ!」
「スクアーロさん!寝ている場合じゃないですよ!サスペンスです!」
「サスペンスならドラマとボスで見慣れてるじゃん。」
「慣れたくないですよ!」
「あ、そっか。ボスはドメスティックバイオレンスだったっけ。サスペンスじゃねーか。」
「ああん?ベル、テメーなんだぁその髭はぁ」
「これ?何かジャッポーネのひゃっきん。って所にあったから貰ってやった。」
「似合うよ。ベル。」
「すっげームカツク、褒め言葉なのに。」
「って、ベルさんもしかして泥棒してきたんですか!?」
「ちげーし。王子だからもらえるんだよ。」
「理由になってないじゃない!」
「そういえば、サスペンスといえばあの人ですよねー!名探偵ポアロ!」
「なんだぁ、そりゃぁ」
「ああ!そうね!それだわ、そのちょび髭はポアロのものだわ!」
「ポアロ?・・・あー。あの太ったおっさん?」
「はひ、知ってるんですかベルさん!」
「泥棒して袋開けたらそのジジイが描いてあった。」
「やっぱり盗んだんじゃないですか!」
「で、ハル何騒いで、」
マーモンが口を開いた瞬間に、皿とケーキが寝不足のスクアーロの顔面に飛んでいった。
勢いは無かったが、クリームが鼻に入る圧迫感にそのまま後ろに倒れてしまった。
「・・・は、はひ!」
一瞬の静寂の中、ハルが叫ぶ。両手を頬にあてて、真っ青にしながら。
「ハルの、ケーキがー!!」
「もー!ボスってば、2つあるならあるって、最初に言ってくださればよかったのに・・・」
恥ずかしそうに視線を別の場所に彷徨わせながらも、ばくばくと頬張る三浦ハルを見て溜息。
とうとうアイツにも同情しなくなってしまったのかと、嘆くを通り越してやっとなれたのかという安堵に似たものだった。
あの後、スクアーロを引きずって自室に戻しに言ったルッスーリアと、そのまま残ろうとするちょび髭をつけたベルとマーモンも、仕事の書類と拳銃をちらりと見せるとおずおずと帰って行った。
三浦ハルの叫び声はヴァリアーが駆けつける。
犬か、あいつ等は。
「あーう・・・おいしいです・・・」
「当たり前だ。」
「これ何処のですか?」
「・・・知らねぇ。」
「はひ!なのに当たり前とか言ったんですか!凄いですねボス!」
褒めているのか貶しているのか分からない台詞を受けても、何も反応しない。
それに首をかしげてもう一口口に放り込むハル。
「それにしても、ベルさんってば困りますね。泥棒です。犯罪です。困ります。」
「マフィアって時点でお前も犯罪者だろうが」
「はひ!?ハルはちゃんとした一般人です!人を殺すなんて不可能です!」
「・・・・・・」
「・・・なんですか、その視線は・・・」
何故、この三浦ハルはマフィアなんぞになったんだ。
こんな事を平気で言う奴なんざなる事は出来ない。むしろ殺されるくらいの人間だ。
「そりゃ、そうだな。あんな場所で昼寝なんぞする殺し屋なんぞ居ないからな」
「はひ?昼寝・・・?」
つい出してしまった言葉に口に手をあてる。そして溜息。
らしくなさすぎる。気持ちが悪いほどにらしくない。
「ああ!あの木の下ですか?あそこは素敵です、ベストスポットなんですよー!あ、ボスも寝ますか?一緒に!」
本当、コイツは絶対マフィアなんてならなければよかったのに。
ボキリ、とペンが折れた。
「はひ・・・顔がデンジャラスです・・・」
「るせぇ」
紅茶を飲んでいる音が聞こえ、ふと視線を上げる。
俺の傍に珈琲が置いてあるが、飲みながら見ないでよかった。
何故かむせ返りそうになった。
「テメェ・・・なんだ、それは・・・」
「はひ・・・?あ!やっと気が付いてくれましたか!いつこっちを見てくれるのかって思ってました!」
にっこりと笑顔でそういって、鼻の下にあるちょび髭に触れながらふふん。と笑う。
「名探偵、です!」
「宴会の余興だろ。」
「はひ!失礼なっ」
「・・・・それ、ベルのか。」
「当たり前です!こんなの常に常備なんて出来ませんよ!ちょっと借りてきちゃいました。」
鼻の下からそれを剥がして、ボスもつけますか?などと言うので、少し殺気が抑えられなかった。
「よこせ。」
「え!つけるんですか!?」
「殺すぞ。」
「すみません。冗談ですから」
へらへらと笑いながらその髭を渡した。そのまま手の上で炎を出して燃やすと、あー!と三浦ハルから講義の声が上がった。
直ぐに駆け寄ってきてももう遅い。手の中にあるのは真っ黒な灰。それを手を振って落とした。
「何するんですかー!」
「何がだ。」
「何がだ。じゃないですよー!もう!それ泥棒なんですよ!?」
「意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇ」
「あー!いつかお店に返そうと思ったのに・・・・」
落胆した表情で机にうなだれる。
「お前つけてただろ」
「・・・・それは・・・その・・・あれです。お金を返すという意味ですので・・・これはもうベルさんのものですし・・・・」
「安心しろ、お前はちゃんとマフィアだ。」
「はひーーー!!」
頭を抱えてそう叫んだら、またもやメンバーが集まってきて拳銃を取り出した。
何故か、何故かザンハルとかベルハルとかスクハルとか表記しても、何処かヴァリハルな風味が漂ってしまう今日この頃。
何故でしょうかねー。なんかありきたりのような気が・・・
いや!いいよ!いいのよ!ベルとマーモンなのにマーモンだし!ベルはちょび髭でポアロだったし!
すみません。リクエストに添えてなかったですね。すみません。土下座します。ていうかしてます。
頑張ってるんです・・・・これでも・・・・(泣