[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

 

 

 

 春の柔らかい日差しの下。木漏れ日が降り注ぐ木の下。

緑から覗く空の光がまぶしく感じる今の時間。その木の下は、眩しさと共に暖かさを得られる場所。

木の幹に寄りかかり、眼を閉じると爽やかな風が吹いていく。

風を髪に孕んで気持ちよさそうに薄らと微笑む少女。

そしてその腕の中にいる小さな赤ん坊。

フードのしたから覗く口はいつもどおりだが、何処か緩んでいた。

寝ている。昼寝だ。

窓から覗く其処は、芝生がしかれていて、風も吹いていてとても気持ちよさそうだった。

だから、苛立つ。

 

 

 

「はれ、ボス・・・。」

「なんだ。」

「どうしたんですか?そのケーキ。」

「・・・・やる。」

「はひ!」

驚愕しているであろう三浦ハルの顔を見ずにそう告げる。

オプションとして紅茶も添えつけてやったら、両手を上げてのけぞった。そのあまりのリアクションに口元をぴくりと動かした。

「ど、どうしたんですか!本当に!」

「何がだ。」

「だって・・・ボスが仕事中にケーキを食べていいなんて・・・・しかもボスからもらえるなんて・・・!」

天変地異ですー!皆さん非難です!もう直ぐユーラシア大陸の何処かに隕石が落ちてきます!

ドアを開けて大きな声でそう叫ぶものだから、わらわらと群がる連中。

「何?どうしたのハル」

「ルッスーリアさん!もう直ぐ地球が・・・!」

「今さっきはユーラシア大陸とか言ってなかったっけ?」

「う゛お゛ぉぉい!煩ぇぞぉ!俺は寝不足なんだぁ!」

「スクアーロさん!寝ている場合じゃないですよ!サスペンスです!」

「サスペンスならドラマとボスで見慣れてるじゃん。」

「慣れたくないですよ!」

「あ、そっか。ボスはドメスティックバイオレンスだったっけ。サスペンスじゃねーか。」

「ああん?ベル、テメーなんだぁその髭はぁ」

「これ?何かジャッポーネのひゃっきん。って所にあったから貰ってやった。」

「似合うよ。ベル。」

「すっげームカツク、褒め言葉なのに。」

「って、ベルさんもしかして泥棒してきたんですか!?」

「ちげーし。王子だからもらえるんだよ。」

「理由になってないじゃない!」

「そういえば、サスペンスといえばあの人ですよねー!名探偵ポアロ!」

「なんだぁ、そりゃぁ」

「ああ!そうね!それだわ、そのちょび髭はポアロのものだわ!」

「ポアロ?・・・あー。あの太ったおっさん?」

「はひ、知ってるんですかベルさん!」

「泥棒して袋開けたらそのジジイが描いてあった。」

「やっぱり盗んだんじゃないですか!」

「で、ハル何騒いで、」

マーモンが口を開いた瞬間に、皿とケーキが寝不足のスクアーロの顔面に飛んでいった。

勢いは無かったが、クリームが鼻に入る圧迫感にそのまま後ろに倒れてしまった。

「・・・は、はひ!」

一瞬の静寂の中、ハルが叫ぶ。両手を頬にあてて、真っ青にしながら。

「ハルの、ケーキがー!!」

 

 

 

「もー!ボスってば、2つあるならあるって、最初に言ってくださればよかったのに・・・」

恥ずかしそうに視線を別の場所に彷徨わせながらも、ばくばくと頬張る三浦ハルを見て溜息。

とうとうアイツにも同情しなくなってしまったのかと、嘆くを通り越してやっとなれたのかという安堵に似たものだった。

あの後、スクアーロを引きずって自室に戻しに言ったルッスーリアと、そのまま残ろうとするちょび髭をつけたベルとマーモンも、仕事の書類と拳銃をちらりと見せるとおずおずと帰って行った。

三浦ハルの叫び声はヴァリアーが駆けつける。

犬か、あいつ等は。

「あーう・・・おいしいです・・・」

「当たり前だ。」

「これ何処のですか?」

「・・・知らねぇ。」

「はひ!なのに当たり前とか言ったんですか!凄いですねボス!」

褒めているのか貶しているのか分からない台詞を受けても、何も反応しない。

それに首をかしげてもう一口口に放り込むハル。

「それにしても、ベルさんってば困りますね。泥棒です。犯罪です。困ります。」

「マフィアって時点でお前も犯罪者だろうが」

「はひ!?ハルはちゃんとした一般人です!人を殺すなんて不可能です!」

「・・・・・・」

「・・・なんですか、その視線は・・・」

何故、この三浦ハルはマフィアなんぞになったんだ。

こんな事を平気で言う奴なんざなる事は出来ない。むしろ殺されるくらいの人間だ。

「そりゃ、そうだな。あんな場所で昼寝なんぞする殺し屋なんぞ居ないからな」

「はひ?昼寝・・・?」

つい出してしまった言葉に口に手をあてる。そして溜息。

らしくなさすぎる。気持ちが悪いほどにらしくない。

「ああ!あの木の下ですか?あそこは素敵です、ベストスポットなんですよー!あ、ボスも寝ますか?一緒に!」

本当、コイツは絶対マフィアなんてならなければよかったのに。

ボキリ、とペンが折れた。

「はひ・・・顔がデンジャラスです・・・」

「るせぇ」

紅茶を飲んでいる音が聞こえ、ふと視線を上げる。

俺の傍に珈琲が置いてあるが、飲みながら見ないでよかった。

何故かむせ返りそうになった。

「テメェ・・・なんだ、それは・・・」

「はひ・・・?あ!やっと気が付いてくれましたか!いつこっちを見てくれるのかって思ってました!」

にっこりと笑顔でそういって、鼻の下にあるちょび髭に触れながらふふん。と笑う。

「名探偵、です!」

「宴会の余興だろ。」

「はひ!失礼なっ」

「・・・・それ、ベルのか。」

「当たり前です!こんなの常に常備なんて出来ませんよ!ちょっと借りてきちゃいました。」

鼻の下からそれを剥がして、ボスもつけますか?などと言うので、少し殺気が抑えられなかった。

「よこせ。」

「え!つけるんですか!?」

「殺すぞ。」

「すみません。冗談ですから」

へらへらと笑いながらその髭を渡した。そのまま手の上で炎を出して燃やすと、あー!と三浦ハルから講義の声が上がった。

直ぐに駆け寄ってきてももう遅い。手の中にあるのは真っ黒な灰。それを手を振って落とした。

「何するんですかー!」

「何がだ。」

「何がだ。じゃないですよー!もう!それ泥棒なんですよ!?」

「意味分かんねぇ事言ってんじゃねぇ」

「あー!いつかお店に返そうと思ったのに・・・・」

落胆した表情で机にうなだれる。

「お前つけてただろ」

「・・・・それは・・・その・・・あれです。お金を返すという意味ですので・・・これはもうベルさんのものですし・・・・」

「安心しろ、お前はちゃんとマフィアだ。」

「はひーーー!!」

頭を抱えてそう叫んだら、またもやメンバーが集まってきて拳銃を取り出した。

 

 

 

 

何故か、何故かザンハルとかベルハルとかスクハルとか表記しても、何処かヴァリハルな風味が漂ってしまう今日この頃。

何故でしょうかねー。なんかありきたりのような気が・・・

いや!いいよ!いいのよ!ベルとマーモンなのにマーモンだし!ベルはちょび髭でポアロだったし!

すみません。リクエストに添えてなかったですね。すみません。土下座します。ていうかしてます。

頑張ってるんです・・・・これでも・・・・(泣