男が女に膝枕という設定はあまりにもなんと言うか、図的にもしている方にもまったくよろしくない気がする。

何処がいいんだか、この硬い足。

添えた手は硬いから僅かな拒絶なんじゃないのだろうか。それでも、

「はふー・・・」

恍惚の溜息を漏らしているから、まぁ、何とかなるが。

今書類にペンを走らせている途中だから、あまりにも理不尽だと思うわけだ。

コイツは俺の秘書だろうが。恋人でもあるが。

すりすりと硬い太股に頬を寄せる感触は悪くは無い。

「代われ。」

「はひ?」

涎をたらしそうなくらいだらしなく開いた口が間抜けな声を放っていた。

 

 

 

「酷いです・・・たった五分だけでしたのに・・・」

「煩ぇ」

ベッドに寝転がり、腰かけたハルの膝の上に頭をのせて眼を閉じた。

「もう、ボスってば、仕事もあるのに・・・またスクアーロさんの髪の毛が抜けちゃいますよ。」

「構わねぇ」

「・・・・鬼ですね・・・」

「フンッ」

惜しげも無く出された足に頬を寄せる。吸い付くような綺麗な足の方が何倍もいいというのに。

「お前も変な奴だ。」

「はい?」

「こんな硬い足の何処がいいんだか・・・」

「硬くったっていいんですよ。だって、ボスの足ですもん。」

あっけらかんとそう言い放つ顔が何故か苛ついたので頬を抓った。

ぐにぐにと柔らかい頬が形を変えて蠢く。

「はに、ふるんでふかぁ・・・」

「・・・・・」

「むひですはぁっ!?」

「・・・・・寝る。」

ぱっと頬から手を離してまた寝返りを打つ。抓られた頬をさすりながら

「はひ・・・だから、仕事は・・・・」

「後回しだ、後回し」

「・・・・・仕方ないですねぇ・・・もう・・・」

溜息を小さく漏らして、頭をゆっくりと撫でた。

その心地よさに意識がどんどん落ちていく。

 

 

 

「・・・・・、・・・・。」

「・・・・・・。・・・・・」

意識が眼を覚ますと、僅かに聞こえる会話の声。

薄らと開いた眼をまた閉じて声に集中する。

「すみません・・・ボスが起きたら直ぐにさせるので・・・」

「いや・・・それはいいんだが・・・」

「うしし、なぁなぁ。ボスの額に何か書かね?」

「はひっ、そんな・・・死んじゃいますよ」

「う゛おっ、それいいなぁ!俺も乗るぜぇ!」

「はひー!」

此処まで大声で話していて起きていないと思っているのだろうか。

こめかみがぴくぴくと痙攣するのを抑えられない。

手に力が入りカッ消そうかと疼きを抑える。

「何書く?」

「そうだなぁ・・・・」

「あ、じゃあハル命!って書いてください!」

お前も乗り気になってんじゃねぇか。

「それいいけど・・・なんかもっとインパクトのあるもんがいいなぁ・・・んー。」

「よし、もう一つ眼描いてやろーぜぇ!」

「おお!・・・でも其れある意味恐怖だぜ・・・もっと間抜けでインパクトがすげー奴。」

「もうここは無難に肉でいいんじゃないですか?」

「肉?なんだそりゃぁ」

「スクアーロしらねーの?」

「はひー!ショックです!」

「だから何なんだぁ!」

「もういいです、此処はやっぱり初心に帰ってハル命で!」

「んや、此処はやっぱり肉にしよーぜ」

「それよりかは黒子だぁ!毛がちょっとでてるやつだぁ!」

「はひー!それいいですね!もうそれです!」

「えー。でも肉もすてがてーよ。」

「じゃあ、もう全部書いちゃいましょうよ!」

「肉は絶対額なー!」

「黒子は顎の所にするぜぇ!」

「ハル命は右頬でっ!」

「マジックは・・・お、あったあった。」

キュポッと蓋が外された音がして、もう意味は無ぇとばかりに眼を開けた。

これで殺せるくらいの眼力を込めると、マジックを持って至近距離に居たベルが真っ青になって固まっていた。

「? どうしたんだぁ、ベル・・・・・う゛、お・・・・」

カスも俺に気が付いたらしく、真っ青になって今にも倒れそうになっていた。軟弱野朗が。

「どうしたんですか?二人共」

「・・・・・・・・・お、おれっ・・・任務あった気がした・・・」

「お゛!・・・・おれもだぁ!今から任務行かないと殺されるんだったなぁ!・・・・」

「行かなくても殺してやる。」

「はひっ」

ハルも俺に気が付いたらしく、ベッドに倒れた。ゆっくりと頭を上げて、手に炎を灯す。

ベルがマジックを落として一歩一歩牽制しながら下がっていく。カスはそのまま固まったままもう死ぬと覚悟しているらしい。いい心がけだ。

「俺が寝てるとでも思ってたのか、もっと頭働かせやがれ。」

暗殺者として未熟なお前等は、俺が鉄槌を下してやる。

コォォォ。

「ボスっ」

爆発音が響いて、大きなドアから爆風が廊下を撫でるように駆け巡った。その爆風を背中に乗せてうまく逃げたベルと、窓を割って庭に落ちたスクアーロ。

これからさらに追いかけようと立ち上がると腕にまとわり付いてきた三浦ハル。

「待ってください、駄目です!」

「何が駄目だ。・・・そうだな、お前も共犯だったか」

頬に手を伸ばして笑えば、ぴっ、と声を出して真っ青になった。

「ハル命。だったか? 安心しろ、テメェが書かなくとも俺が書いてやるよ。」

押し倒し、落ちていたマジックを拾い上げ、油性マジックのソレで頬に丁寧に書いてやった。

書類に記入するのも面倒な俺が、わざわざ仕事以外で書いてるんだ。ありがたく思え。

「はひ・・・・」

きゅっきゅっといい音を響かせながら書いてやった。

上から退くと、頬をしばらく撫でていたが、直ぐさま鏡で頬を見た。

「・・・なっ!」

何ですかコレー!!

そんな悲鳴と似た声が響いて、俺は部屋を後にした。後処理は大切だよなぁ?

 

 

 

「・・・ハル、それどーしたの。」

「ベルさんこそ・・・」

「う゛お゛ぉぉい・・・」

「俺骨折、右腕だぜ?任務できねー・・・」

「俺は左腕の肩だぁ。あと左足・・・」

「ハルなんて・・・コレですもん・・・」

「・・・・・。」

「ガーゼつけることも許されなくて・・・・」

「もうゼッテーボスに悪さしねー。」

「つーか・・・・あのボスも良く書けたなぁ・・・」

「恥ずかしがってなんてなかったですよ・・・すっごい楽しそうでした・・・」

「・・・・・・」

「XANXUS命って・・・」

「・・・夜中、ボスにハル命って書いてやります!絶対に!」

 

 

 

わっけわっかめー

なんか連続で言っている気がするのだけれど・・・

甘くない・・・でも、甘くしたらすっごい事になりそうだからセーブしてみたんですが・・・

なぜか・・・グダグダ・・・わけわかめ・・・

ボスとハルの絡みが少ない・・・

 

あーう・・・リクエストありがとうございます・・・

そして、すみません・・・撃沈です・・・・(ガクッ