[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。
久しぶりに見たあの人はとても綺麗でかっこよくて、眩暈がした。
群れる事を嫌うはずの彼は、堂々と守護者達に紛れて歩いていた。ボンゴレ本部の廊下を歩いていた私は、沢田さんを筆頭に歩いているその団体の中にまぎれているその人を見て、心臓が口から飛び出そうだった。
ああ、イーピン。おはよう。と、沢田さんが軽く手を上げる。私はぺこり、とお辞儀をしてその団体が過ぎるのを待った。
ざっざっと歩いて、過ぎた団体の後姿、一番後ろに居るあの紫の人を見る。悠々とした態度で、颯爽と歩いて行った。
ぽーっと、頬が赤くなってしまう。
どうしよう。かっこいい。
付き合ってる人とか、いるのかな。
そう、ビアンキさんに呟いた。
仕事が終わってゆっくりとティータイムを、最近、一緒に過ごしている。疲れたようにふぅ、と息を吐きつつ、髪を掻き揚げる。その姿がとても大人っぽくて、羨ましいと思った。
「誰が・・・って、言わずもがなってやつよね。」
「はい・・・」
その言葉に頬を赤めた。分かっていると思ってたとはいえ、やっぱり、はっきりと言われると恥ずかしい。
「雲雀恭弥・・・ねぇ・・・私は情報はあまり入ってないのよね。残念ながら」
「ビアンキさんはリボーンさんだけですからね」
「ええ、リボーンの事が分かれば後は何でもいいわ。」
ふっと笑って紅茶を飲む。そのきっぱりとした言い方に憧れる。ビアンキさんはいつまで経っても憧れの女の人だな。昔から、小さい頃からそうだった。小さい私から見ても色っぽくて大人で、高校生なのに落ち着きがあって。
「ビアンキさんは、何で、リボーンさんの事が好きになったんですか?」
「・・・・・」
即答すると思ったのに、ダンディーな所、とか、スリリングな所、とか。
何だか深刻そうな顔をして、しばらくの沈黙、少ししてからやっと出てきた言葉
「・・・いろいろと、あったの、昔ね。」
「・・・・・そうなんですか・・・」
「・・・・とにかく、かっこよくて、素敵で・・・そうね。何処を好きになったのかしら。」
「え・・・」
「何処を、どうして好きになったのかしらね。分からないわ・・・でも、それでもやっぱり、好きなのよね・・・きっと。」
寂しげな、何処かを見ているような眼でそう淡々と呟いたビアンキさん。簡単じゃないんだ。いろいろとあったんだろう。リボーンさんが小さい頃、赤ん坊になった頃。
私は何も言わずに、紅茶を啜る。暖かくて、しばらくの沈黙をそれで逃げた。
「・・・・で、雲雀恭弥が、どうしたんだったかしら?」
「・・・・えっと、付き合ってる人が居るのかなー?って」
「そうだったわね・・・雲雀恭弥は、多分、特定の人しか無理だと思うわ。」
「特定?」
「とにかく、大まか?大雑把?とにかく精神が大きくなくちゃ、大人でなくちゃ。雲雀恭弥とは付き合えないと思うわ。あの人、リボーンと同じ匂いがするから。」
それに、リボーンも眼をつけた男だし。
と付け加えて、紅茶をもう一杯入れに席を立った。少し、考えた。
大きい、か。私。胸も大きくないし、精神だってまだ子供で、落ち着いて顔も見れないのに、話も出来ないのに。私・・・やっぱり無理かも。いろいろと。
雲雀さんへの想いをどうしようかと試行錯誤しながら、ランボに言われた届け物を、沢田さんに届ける為に、ボスの部屋に行くため歩いているわけですが。
ぽわん、と浮かび上がるのはもちろんあの人で、もうそれだけで赤面必須!それなのに、雲雀さんの彼女、とか・・・憧れていたりして。
書類が入っているであろう封筒を抱きしめて唸りながら曲がり角を曲がろうとしたら、一瞬視界の端で見えた紫で短髪できりっとした眼の人。
反射的にばっと隠れて気配も消してしまった。ああ、私の視力2.0、よりも上だった事をこれほどまで嬉しい事は無い。よかった。もうこれで分からないで歩いていたらとんでも無い事に・・・
タコになってしまうところだった。茹蛸に。
でも見たい気持ちはあって、そーっと見ると、雲雀さんは後ろを向いていた。よかった。と思う気持ちと、残念。と思う気持ちが入り混じって、矛盾していた。
あれ。ハル、さん?
「ですので、雲雀さんは次は日本に行ってほしいそうです。」
「ふぅん。」
ああ、任務の事だったのか。吃驚した・・・
「だったら君も来ればいいのに、休暇とってさ。」
「はひ、任務ですよ?駄目ですよ。」
「任務が終わってからでいいじゃない。」
・・・あれ?これって、どういう・・・?
「そう、ですねぇ。それもいいですかね」
にっこりと笑うハルさんに、ふっと微笑む雲雀さん。心臓が信じられないくらい跳ねた。あんな顔。はじめてみた。
「よしっ、じゃあ、ツナさんにお願いしてみます。」
にっこりと笑って手帳を閉じる。ボブカットの髪がかすかに揺れて、本当綺麗だなぁ・・・
雲雀さんもそれに反応したのか知らないけど、一歩前に擦り寄ってきて・・・え?
「雲雀さん?どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもないでしょ。任務でやっと帰って来れたんだから。」
するっ、と、ハルさんの腰に腕を回して引き寄せた。・・・・ええ!?
「はひっ、ちょ・・・雲雀さ」
ひぇっ!?
う、嘘嘘!キス・・・してる!?そ、そんな・・・え、待ってっ。
「ふぁっ・・・あ、あ・・・」
し・・・舌っ!舌!?したがっ!し、た・・・・
ちゅっと、離す時に軽く唇にリップ音を響かせて離した。
こ、この甘い雰囲気は・・・何?
「雲雀さん!何やってるんですか!こんなとこで・・・」
「いいよ。別に」
「全然良くないですっ!」
私は驚いて吃驚して、あ、同じだ。でもどっちでもよくて、もうとにかく分けが分からなくて、逃げ出した。その時音を立ててしまって、多分、雲雀さんとハルさんも気が付いているんだろうけど。
それでも逃げた。
ちょっと!ちょっと!ど、どうしよう!雲雀さんとハルさんのキ、キスシーン見ちゃったよ!生だよ生!
確かに、ショックだけど、そういうんじゃない・・・え、私、失恋したのに!?それよりも、ハルさん?ハルさんと?嘘!信じられない。だって、だってだってだって、接点とか無いし・・・え、そういう関係なの?恋人?愛人?浮気?遊び?
どれにも当てはまらない。
でも、当てはまるとしたら、あの甘い雰囲気と、ほのぼのとした感じで・・・
こ、こい・・・恋、人・・・・
でも、とっても、綺麗だった。お似合いだった・・・
あの雲雀さんの相好が緩むところなんて、見たことなかった。あんな顔をさせられるのは、多分、いや、絶対世界中でハルさんだけだろう。きっと。
私じゃ、無理、だし・・・
走っていた足を止めて、虚しく、走る音しか響かなかった廊下に、一人佇んでいる。
あー!もう!
書類を抱きかかえたまましゃがむ。ぎゅうっと、締め付けられる心臓とか、ぐちゃぐちゃになった頭の中とか、いろんなものを落ち着かせるために、廊下の隅っこに寄って肩をもたれかからせる。
「・・・もう、何がなんだか・・・わかんない・・・」
私の頭のコンピューターは故障中。いつ復旧するのか、未定。
「・・・雲雀さん・・・今・・・」
「うん。誰かいたね。」
「居たね、じゃないですよ!どうするんですか!多分、見られてたんじゃ・・・!?」
「そうだね。」
「・・・・どうしましょう!まさか、まさか噂とかになったらぁ!?」
「それだったら、もう結婚できるよね?」
「はひ!こんな時に何言ってるんですか!ハル、ハルは・・・したいですけどっ!そりゃ、したいですけど!」
「じゃあしようよ。」
「うっ・・・でも、でもっ!・・・今は、そう言うんじゃ無くてですね・・・」
「だったら何?せっかくプロポーズしてるのに」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・ろ、」
廊下で、プロポーズなんですか・・・・?
「じゃあ、帰ってからもプロポーズする。」
「・・・・・・・」
「それなら、いいでしょ?」
いや、そんな首かしげられても!
あとがき
イーピンが分からなすぎてどうしよう。
そしてどうしよう。スランプかも・・・・(汗
やばいっ!イーピンわからなすぎる!大人イーピンってこんなしゃべり方じゃないよね!?どんなしゃべり方だっけ!?
やばいよ。こっちが故障中だよ。復旧未定ですよ。