どうしてでしょうか。セキュリティ万全のマンションの筈なのに、何故なんでしょうか。
ドアを開けると妖精が居て、お帰り。何て言ったら確かに驚くけど。ドアを開けると泥棒が居て、そのまま襲い掛かれたら確かに驚くけど。
「・・・・なんで居るんですか」
一人暮らしをはじめてやっと三日目。初々しい生活にもだんだんと慣れ始めの第一歩を踏み出そうという時に
「その前に言う事あるんじゃないの?」
「・・・・・えと・・・・・た、ただいま?」
「おかえり」
「・・・・・・・あの。」
「何?」
「・・・・なんで居るんですか、ね?」
もう一度聞いてみた。
「何。問題あるの?」
「あまりにも大アリですけど。」
「ねぇ、君は客にお茶も出さないの?」
「人の話を聞いてください。」
とりあえずお茶を出します。じゃないと話が進まないという事が長い付き合いで分かったので。
「粗茶ですが・・・」
「うん。そうだね」
「・・・・・・」
ムカッときたもののグッと我慢して振るえる手を押さえ込む。そんなハルなんてお構いなしにお茶を飲む。
「・・・・で、雲雀さん?貴方は何故此処にいるのでしょうか?」
「ねぇ、お腹すいたんだけど。」
「だから話を聞いてくださいってば!」
どこまでも自由奔放な彼に振り回されるハルは、余儀なくご飯まで作らなくてはならなかった。
「あの、雲雀さん?」
「食事中はしゃべらない。」
「・・・・何故此処にいるんですか?」
本日三度目の台詞で尋ねる、また話が飛んでしまわないように神経を集中させながら。
「食後の後にね。」
「・・・・・そう、ですか・・・・・・あの、ですね。もう一つだけ」
「何?」
「・・・・・・・今ですね。これ、夜ご飯なんですけど。そして今七時なんですけど」
彼の眼を見て話しているが、彼は下を向いていて眼は合わない。
「だから?」
「・・・・・・女性の部屋に居ていいものなのですか?」
「いいんじゃないの?」
然も当たり前のように言う彼に
「・・・・・そ・・・そうですか・・・」
と、本日二度目の台詞を言うしかなかった。彼は沢庵をぽりぽりと食べていた。その様子に肩を落として食事を再開した。
お茶碗を置いて
「さて、本題に入ろうか。」
「すみません!ハルまだ食べてないんですけど!」
「何やってるの。」
馬鹿?とでも言いたそうな顔をしてハルを見る。
「・・・・・・・あの、ハルはいいんで、しゃべってください。」
「それじゃあコレ見て。」
何処から出したのか一枚の書類を出し彼女の前に突き出す。
「えーと・・・・あ、これハルがマンション借りるときの誓約書じゃないですか・・・・・・・あれ?でも・・・・ちょっと違いま・・・・・・」
ピシッと、お茶碗を持ったまま石化したハルを見てくすりと妖しく笑う
「コレね。制約じゃなくて解約の方ね。」
「な、なななっ!?ハルこんなの書いた覚えないんですけど・・・!?」
「当たり前だよ。コレは僕が書いたんだから。」
「何してるんですか!?」
ばんっと箸とお茶碗は割れないようにゆっくりと叩きつける。
冗談じゃありません。そんな事されたら・・・ハル帰るところが無いんですから!
「君、父親がアメリカに行ってるんだって?」
「ふぇ!」
「家も貸してるらしいね。」
「はひっ!」
「帰る場所無いね。」
かわいそうに。と言ってはいるが、とても嬉しそうな顔をしている彼にとうとう切れた。
「・・・雲雀さん・・・貴方、一体何がしたいんですか・・・」
怒りがどんどんと大きくなるにつれて、それに反比例するかのように声が低くなっていく。
「僕と一緒に住みなよ」
「・・・・・・・はい?」
しゅるしゅると怒りが小さくなっていくのが感じられた。何を言った?一緒に?どうしろと?
最強無敵の不良風紀委員の雲雀恭弥。付き合いは長い。だからよく彼の事を知っていると思っていたのは自分だけだったらしい。
分けが分からない。
「荷造りする?」
後から全部揃えられるけど。
「・・・ちょ、ちょっと待ってください!何でもう行く事前提になっているんですか!?」
「だって君明日には此処君のじゃないんだよ?行く所他にあるの?」
「無くしたのは貴方ですけどね!」
「いいから、どうするの。」
「・・・・・・・雲雀さん。本当に、何考えてるんですか?」
「単純な事だよ。三浦ハル。」
ふっと笑って
「危なっかしい君を保護するだけ。」
まるでノイズ
ヒバードちゃんと同じ扱い!?
あとがき
まおさん。本当に申し訳ございません。orz
小説は死ぬほど書きたいのですが、なんといいますか。あの、勘?なんかそんなもんがどこかに行っちゃって・・・家出して戻ってきてくれなくて・・・(汗
こんな事になってしまいました・・・
愛夢のヒバハルでは基本的に原作年齢でくっついているという設定でして、というかそれじゃないとあまり落ち着かなくて・・・(ぇ
だから未来でくっついてなくて、あまつ雲雀さんの片思いというのが珍しくて・・・
それもあってこうなってしまったのです。(言い訳