「・・・・・・・」

これは、一体どういう状況なのだろうか。

風紀福委員長の草壁はドアを開けて止まっていた。

あまりにも不機嫌、眼で人を殺してしまいそうなほど苛立っている。

そしてそれに比例するようにニコニコと、光っているように笑っている。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

声を出したら負ける。それよりも死ぬ。

「・・・・・・・」

口を動かすだけでどうにもならない。手に持っている書類も震える。ぴんっと張り詰めた空気と同じく、紙も張っている。

「・・・・・・・」

「・・・・・あのー?」

「!」

「・・・・・・・」

「草壁さん?どうしたんですか?ずっとそこで・・・・」

「・・・・・・・・あ・・・・ああ、いや、ああ。何でも無い・・・・し・・・・・・・失礼しました・・・」

ゆっくりとドアを閉めて冷や汗を拭いた。何でこんな事になっているのだろうか。ドア一枚の向こうにはまだあの世界が広がっていると思うと身体が震える。

遠慮無く立ち去っていく。

 

そしてドアの向こうの二人といえば、また不機嫌オーラの彼とにっこりと笑ったままの彼女。

そんな二人がずっと見つめ合っている。

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・ねえ、もう一度言ってみなよ。」

「何で命令形なんですか・・・もう!だから、ツナさん達と一緒に遊園地に行く事になったんですってば」

「・・・・・・・それ、許されると思ってるの?」

「何で雲雀さんに許されなきゃいけないんですか!しかも、豪華客船で行くらしいんですよ!行くしかありません!」

「僕なら世界一周でも用意させるけど?」

「もう!だからそういう問題じゃありません!」

「だったらどういう問題なの?」

「んもう!雲雀さんのぴろぴろぴー!」

馬鹿―!と捨て台詞を吐いて応接室を後にした。

「・・・・ぴろぴろぴーって、何?」

 

 

「と、いう事がありまして・・」

この豪華客船に乗る前日の話をビアンキにしていた。プンスカと怒っているハルはオレンジジュースをがぶ飲みした。

「どう思います?雲雀さんは自分勝手です!」

「そう・・・ね・・・」

哀れだわ、雲雀恭弥。

「一緒に行きたいのなら素直に言えばいいのにっ!」

「・・・・・・」

「遊園地で遊びたかったんですよきっと!」

「・・・・・・・ねぇ。」

「何ですか?」

「・・・・それ、雲雀恭弥に話した?」

「?」

不思議そうに首をかしげるかわいい妹のような三浦ハル。

「その、遊園地で遊びたいんでしょう?って、事言ったって事。」

「もちろんです!ハルの怒りは臨界点を突破しましたからっ!」

「・・・・・・・・・・」

・・・・哀れだわ、雲雀恭弥。

「・・・・でも、お土産は、買って帰ります。」

遊園地、行きたがってましたから。

「・・・そうね、それがいいわ。」

少し複雑な気持ちで笑った。せめてそれくらいしてあげないとかわいそうだわ。

「ハル。」

「何ですか?」

「もうちょっと鋭くなりなさい。」

「はひ?」

「・・・もうそろそろ着くらしいわよ。」

話を切り替えて外を指差すと、ハルも意識が外に向いた。ノンアルコールカクテルを一気に飲み干し、外に出た。

 

「と、言って見たものの、悩みますねー・・・」

「それならコレよ。」

お土産コーナーで悩んでいるハルにアドバイスと言わんばかりにスプラッタなぬいぐるみを指差す。

お化け屋敷のものだろう。落ち武者が少しかわいくデフォルメされているだけ。

「・・・・いや、もうちょっと遊園地っぽいものを!」

「・・・・それじゃあ、これは?」

指差したのはハルとビアンキを軽く超えた等身大の観覧車。見上げて眉をよせて

「・・・・・・・ビアンキさん。ハルは、もうちょっと、一般的な・・・・まぁ、これはこれで雲雀さんらしい・・・・ような気もしますが・・・」

「いい?ハル。お土産は大きさで決まるの。」

「違いますよ!気持ちです!気持ち!」

「・・・ハル、愛というものは物の大きさで分かるのよ。」

「はひっ・・・あ、愛・・・!?」

「そうよ。」

「わ!分かりました!愛ですね!」

「そうよ、愛よ、愛。忘れちゃ駄目よ。」

興奮したハルは買おうと観覧車に振り返って

「・・・・・・・・・・ビアンキさん。」

「何?」

「これ、すっごく、高いんですけど・・・値段も高さも」

「・・・・・・・・・・愛というものは、値段からも分かるのよ。」

そういいながら自分の財布を出し、値段を見る。頬に冷や汗が流れた。

「・・・・・ビ・・・ビアンキさん・・・」

「・・・貸してあげるわ」

「っ!ありがとうです!」

涙を零して両手で大切に貰った。そんなハルを微笑んで見つめるビアンキ。そんな二人に

「ねぇ、アレ何?」

「さぁな。」

同じお土産コーナーに居たツナとリボーンが呟いた。

 

「はいっ、雲雀さんっ」

どうぞです!と言ってあの観覧車を差し出す。観覧車はそのまま雲雀の机の前。そして机に座って見上げている。

「・・・・・・何コレ。」

「お土産です!」

「・・・・・・・・・・・・何、コレ。」

「お土産です!」

「・・・・・・・・・・」

「ハルの愛の大きさです!」

その言葉に反応はしなかった。それよりももっと気になる事があった。

「・・・・・・一つ聞いていい?」

「はい!」

「コレどうやって運んだの?」

「・・・・・・愛のパワーです。」

「・・・・・へぇ。」

ハルから目線をはずしてもう一度観覧車を見つめる。どうやって持って帰ろうかと目論む。

 

ご好評いただいております

愛の大きさ、です!

 

あとがき

台詞ばかりにしてみました。(ぇ

そして甘さを控えめにしてみましt(やめろ

・・・すみません。言い訳です。小説書きたい病なんですが、うまく書けないんです・・・甘くできなかったんです・・・・!!

ココさんすみませんでしたっ!!orz