いつも見ている四角い世界。蒼、灰色、白、黒と、さまざまな世界。ちっぽけな世界。

そんなちっぽけな世界を見ていた蜜柑。そこから見る世界が好きだった。宿題で疲れたとき、眠いとき、夜中眼が覚めたとき、帰ってきたとき、とにかく、そこを見ていた。

何で見るようになったのか。そんなの簡単すぎて言う必要が無い。

ベッドの上に膝を付いて、少し上に顔を上げれば蒼、下に向ければ緑。そんな世界。

薄いピンクのパジャマに、薄い黄色のカーディガンを羽織って見ていた。少し顔を上げれば黒、下に向ければ深緑、いや、黒。

「今日は、大丈夫なんやろうか」

思い出すのはいつもあの男の子の顔。まだまだ少年で、自分もまだまだ少女で、大人になりたい、と思ってくる年頃。

それは自分も例外じゃなくて、大人になりたい。と、願ってばかり。

でも、棗は違う。棗はもう大人だ。人を大切にする気持ちもあるし、世界を知っている。蜜柑が見ているこの世界よりも、もっと、大きくて、広い世界を知っている。優しい世界、厳しい世界、どうしようもない世界も、全部知っている。

早く大人になりたい。

「普通、やったけど」

夢から覚めても、世界は変わらないままで、ずっと、四角い世界のままで、でも、薄っぺらのドアを開けると、そこにも世界が広がっていた。

この狭い箱のような世界も、たくさんの物がある。大切な人、大切な動物、大切な時間。それは全部、此処にこなければ手に入らなかったもの。あの時、棗に会ったのも、此処で棗を待っていられるのも、蜜柑自身の行動のおかげだった。

此処にきて、無くしたものもあった。そして、手に入ったものもあった。

棗は?棗はどうなん?

ウチは、此処にきて、棗と出会って、凄く、幸せで

でも、棗は?ウチと会って、幸せ?

「でも」

水玉ってだけ?

「やっぱり」

ただのクラスメート?

「もう、ちょっと」

違う、よな?

「待って、よう」

だって、だったらなんで。

「棗」

少し、自惚れても、夢見てもいい、よな?

怪我したりしたら、知らせずに、ずっと、外で、ウチの部屋の近くで、蹲って。ねぇ、これって、気のせいと違うよな?

いつ来るか分からないから。蜜柑は見るようになった。昼間でも、夜中でも、朝方でも、いつでも棗が居てもいいように

 

「お疲れ様」

 

蜜柑は笑いかけた。

 

この世の真実

貴方がすべて

 

あとがき

ノリで書いてしまったよ。まぁ、あれだ。うん。

いろいろとすみませんでした。ということで。