「雲雀さん!じゃんけんしましょう!」

「は?」

彼女は分けが分からない。第一印象も変な子としてインプットされた。それは今でも間違いでないと信じている。

たとえ僕が生まれてこの方すべてが間違っていたとしてもこの事実だけは間違っていないと思う。

100人に聞いてもきっと100が間違っていないに答えるだろう。そんな面倒くさいことは絶対しないが。

「はい!ジャーンケーン!」

「ちょ・・・」

 

あまり彼女といる時間はあまり長くないかもしれないけど、とにかく今ままで頭を抱えていた僕の疑問も解消した。

 

『三浦ハルの分けの分からない行動は、一体どうしたら僕に一番いいのだろう』

この答えはこうだ。

『とりあえず合わせればいい』

 

簡単そうにみえて、全然簡単じゃないこの答え。 まあ、しかたない。

 

 

 

 

 

 

「で」

「で!」

「何でアイス?それもコンビニの」

「だって〜何かアイスが食べたくなったんですもん!」

「自分で買えば?100円でしょ」

「雲雀さんと一緒に食べたいんです!」

「僕はアイス食べないよ」

「はい、雲雀さんもこれ、ソフトクリームです」

やっぱり、あの疑問に答えは無いと知った。あれは間違いだ。答えなんてもともとないんだ。

ふふっと微笑みながら二つのソフトクリームを高校生位の店員に渡す。

「200円です」

「はーい」

手から出された小銭は、3枚 100円と50円2枚

 

 

「・・・・・」

「はひ?どうしたんですか雲雀さん」

「・・・・ほら、200円あげるから」

「はひ!本当ですか?」

はひも何も、そんな中年親父みたいな払方されたら、しかも中学生の女子。 何か、不憫というかなんと言うか。

「君さ、お金無いの?」

「え!何で分かったんですか?」

「・・・・・」

「エスパーですか!?」

腹立つ、腹立つ。 何でこうなんだ。

 

「アホ女」

「はひ!ひ、酷いです!獄寺さんみたいなことを!」

彼の気持ちがよく分かる。今なら普通に今まで群れてたことを謝れそうだ。いや、謝るつもりは無いけど。

「それより、それ、どこで食べるの?溶けるよ?」

「あ!そうでした!今食べましょう!」

「・・・・今?」

「はい!」

「・・・ここで?」

「はい!」

「・・・・帰ろう。」

「はひ!?」

「・・・・君さ、よくここで食べるとか言えたね。」

「え?」

え?じゃなくて、ここ公衆トイレの前。

そう僕が言うと今気が付いたようで顔を赤くしながら帰りましょうと言って僕の手を引いて並盛中に走りだした

「もー!雲雀さんももっと早く言ってくれればよかったのに!」

「いや、普通に呆れて言葉が出なかったんだよ。まさかあんなところで食べるなんて言う奴始めてみたよ。」

僕の人生の中で名前がさらに刻まれた瞬間だった。

『公衆トイレの前でソフトクリームを食べると言った女。三浦ハル』

 

「もー!雲雀さんもういいです!それに付きました!」

そういえばもう並盛の校門の前に来ていた。

「早くしないと溶けちゃいます!」

「うん。」

「応接室の冷蔵庫借りますねー!」

そう叫びながら階段を駆け上がりながら応接室に向かった。

僕はため息を付きながら階段をゆっくりと上がって行った。

 

 

そこにはもうソフトクリームを冷蔵庫に入れ終わった三浦が応接室の周りをそわそわして歩き回っていた

「何してるの?」

「・・・雲雀さん・・・ハル、食べたいです・・・」

「今入れたばっかりでしょ?」

「で・・・でもー・・・・」

きっとその顔は言って欲しいんだろう

「・・・じゃあ食べれば?」

って。

「はひー!それじゃあ!」

冷蔵庫に笑顔で行く彼女の背中を見て少し脱力感を覚えた。

この時間のグラウンドは一ヶ月前だと暗くなっていたのに今ではまだ明るい。

カキンッ と、気持ちいい音が響いた。 ま、群れてるのは嫌いだけどさ。

そんなことを思い巡らせていると冷蔵庫からソフトクリームを持ってきた彼女が俯きながら涙をぽろぽろと流していた

「・・・・どうしたの・・・・」

「う・・・・ううっ・・・・!」

手元のソフトクリームを見て状況が分かった。

きっとカップからソフトクリームを取るときに落ちたんだろう。

まったく、馬鹿だよ

「床に落ちたの?」

「はい・・・」

「床拭いた?」

「はい・・・ちゃんと、きっちり・・・・っ」

「・・・・ハァー・・・あとで僕のあげるから、とにかくそれ食べなよ」

「え!本当ですか!?」

「うん。本当本当。」

もともと食べたかったわけじゃないし。君が勝手に買っただけだろ?と言ったけど彼女はソフトクリームに夢中で聞いていなかった。

「まったく・・・」

頬杖を付いてソフトクリームの後に少し残ったモノを食べているところを見ている。

頬にクリーム付いてるし・・・

頬に注目しているとソフトクリームのコーンのしたから白い液体が彼女の足に落ちた。

「はひっ!」

急に冷たいものが足に落ちたのが驚いたのだろう。ビクリと体全体を揺らしてまた落ちた。

「あっ・・・」

彼女はソフトクリームを持ち上げてその先端を吸った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

白い液体。先端。その眼。

「まったく、ソフトクリームは油断できませんね!」

「・・・・・」

「小さいころからよくやってるんですけど、毎回膝に落ちてから気が付くんですよー」

「・・・・・・」

「雲雀さん・・・?」

「君さ、」

「はひ?」

「いろいろとさ、ほかの奴と一緒にソフトクリーム食べちゃ駄目だから」

「へ?」

「僕のときだけ食べていいよ」

「え・・どういうことですか・・・?」

「いいから。」

「え・・・でも」

「もし、君がほかの奴とソフトクリームを食べてたらそいつ噛み殺すから」

「はひー!?」

さよならソフトクリーム

何でか知りませんけど・・・

 

 

あとがき

最後のネタがやりたくて、そしたら何か長くなっちゃったww(ぇ

いや、何か。うん。

雲雀さんはなんだかんだ言ってハルにベタ惚れだよねー。って話www



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